今日は東北大学カタールホールにて、ローラン・ネイさんとその日本法人代表で本学OBの渡邊竜一さんによる特別講義。厚い鉄板で合理的なジオメトリーの曲面を作り出し、必要な部分だけを残して切り抜く、躯体即仕上で余分な臓物が一切ない純粋の美。が、同時に人間のための空間も織り込まれている。
こういうのはヨーロッパだから可能なのだ……ということはなくて、札幌のトラム駅や三角(みすみ)の港の屋根、長崎出島の橋など、日本でも競争力のあるコストで同様の美学による空間を次々実現している。渡邊さんは建築専攻の都市計画系の研究室を出て土木のデザインへ。
直前まで2年生相手に在来木造構法の授業をしていたのもあり、不均質で劣化を前提したごく細く小さい自然素材を工夫を凝らして組み合わせていく技術と、ネイ氏らの強靭で均質な工業製品による原則ワンピースにする構法とのギャップが感慨深かった。
そのあたりを聞いてみると、現代では材料よりも手間の方がずっと高いし、メンテを考えればジョイントはコストそのものだからね、という。建築もまた、工業製品のように部品点数を減らすことでコストカットと信頼性を狙うようになるのか。DIYはやりにくくなるから居住系には向かぬだろうが。