2015年12月6日の仙台市営地下鉄東西線開業に合わせて、その東のターミナルである荒井駅内に、「せんだい3.11メモリアル交流館」がオープンした。
photo: H.Simple Design
一階は駅コンコースと連続した交流スペースで、沿岸地域のイラストマップ、震災と復興に関連するライブラリ、震災の前後の景色の変化を比較できる映像などがあり、誰でも無料で利用できる。
今後、発災から5年となる次の3月11日に向けて、2階に震災に関連する展示のためのギャラリーと、ワークショップなどをおこなえるスタジオを併設してフルオープンする予定。
この施設は、仙台市が、2013年7月から2014年12月にかけて実施した 仙台市震災復興メモリアル等検討委員会 による報告書 「仙台市震災復興メモリアル等検討委員会報告書 ― 東日本大震災の記憶と経験を未来へ、世界へ、つなぐ提言」(同English version) に基づくものである。
この報告書では、市内中心部で3.11に関する情報を収集・編集・発信する拠点と、沿岸部で3.11を知り学ぶ拠点との2拠点を整備した事業展開を提案しており、この施設は後者の沿岸部施設にあたり、仙台市東部沿岸地域への玄関口として、津波被害を受けた東部地域を訪れ体感するプログラムの実現を図るものとされる。
すでにできあがった「震災の記憶」を人々の閲覧に供する展示施設ではなく、言うなれば、継承されるべき集合的記憶について、実際の被災地域から「発掘」していくためのフィールドワークのための前進基地として位置付けられている。
例えば、イラストマップは仙台市在住のイラストレーター佐藤ジュンコさんによるものだが、あえて余白を大きくとってあり、今後来場者から寄せられた情報をもとに加筆されていく予定になっている。
本江ほか「せんだいスクール・オブ・デザイン」の関係者を中心に構成したデザインチームが、企画の段階から施設のデザインに関わってきた。目下2月のフルオープンに向けて、常設展示と企画展示に向けて猛然と準備を進めているところ。乞御期待。