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建築ITコミュニケーションデザイン論,2013-06-12

9 情報と都市。時間と空間の再編成

建築ITコミュニケーションデザイン論 第9回:情報と都市。時間と空間の再編成

本江正茂

2013-06-12(水)

W.J.ミッチェル「居ることの経済性」Economy of Presence

  • そこに居ることのコスト
  • 「非同期」コミュニケーションの成立
    • 声の文化→文字の文化→印刷→電子的コミュニケーション
    • オラリティ orality と リテラシー literacy
  • 情報の流動化
    • e.g. 壁画からタブローへ
    • 時間:synchronous / asynchronous 同期/非同期
    • 空間:local / remote 現地/遠隔、同室/非同室

| | Synchronous | Asynchronous | |-----------| -------------------- | ------------- | |local | Talk to face-to face | Leave note on desk | | | Requires transportation | Requires transportation |
| | Requires coordination | Eliminates coordination | | | Intense, personal | Displace in time | | | Very high cost | Reduce cost | | ———— | ——————————— | ——————————— | | remote | Talk by telephone | Send email | | |Eliminates transportation | Eliminates transportation | | | Requires coordination | Eliminates coordination | | | Displace in space | Displace in time and space | | | Reduce cost | Very low cost |

  • 情報技術はまずコミュニケーションのコストを下げようとする。
  • 次いで低いコストのままコミュニケーションの強度を上げようとする。
  • この時、コミュニケーションのコストダウン相当分を支払っているのは「場所」である。

若林幹夫「「情報都市」は存在するか?」

「情報都市」ビジョンの類型

ありがちな「情報都市」へのビジョン : - 都市の消滅/マーシャル・マクルーハン 1960s - 都市の危機/ポール・ヴィリリオ 1980s - 都市+メディア=局地的な関係の場+非局地的・全地球的な関係の場=情報都市……という図式 - 都市はメディアである/フリードリッヒ・キットラー

ルイス・ワースの社会学的な「都市」の定義 : - 「大量・高密度・高異質的な人口からなる恒常的な定住」 - 大きくても村、小さくても都市

より妥当な「都市」の定義として…… : - 「複数の離散する地域や集団の中で、身体や物財や情報の交通を媒体して、それらを同一の社会の大きな広がりのへ組み込むような関係の場になる定住」 - 「社会の空間的な広がりの中で複数の領域や集団の間の交通関係を媒体するメディアである定住」 - 「間-場所的な場所」「メタ-場所」

 都市には、間-共同体的な普遍的秩序がある。 : - e.g. 政治、経済、宗教 - ただし、都市は特定の土地空間上の人口集積として実現されざるをえない。 - 社会の「土地性」「交通性」の制限 - 道筋的=移動経路的 trajective vs 望遠レンズ的=遠隔対象的 tele-objective/ヴィリリオ

都市の存立を支える具体的なメディア

多数の「メディア」の協働が必要。

  • 標準化された言語・文字
  • 法体系
  • 貨幣
  • 種々の文書の作成と流通を可能にする書記システム
  • 街道と駅制のような交通体系、その訓練と運行システム
  • 度量衡、暦、計時システム

都市は、これら多様なメディアの協働によって媒体された広域的なコミュニケーション体系の中ではじめて可能になる。

マクルーハン「The Medium is the Message」「The Medium is the Massage」

「情報都市」論の問題点 : - 情報化以前の都市というものがあって、それが情報化して情報都市ができる…のではない。 - 現実の都市も、局地的身体的なだけではなく広域的コミュニケーションの場であった。都市は、局地的かつ広域的な関係を可能にしてきた。 - すべての都市は「情報都市」である。

監視社会 Surveillance Society

  • 居ることを知る/隠すことの経済性 The Economy of Awareness of Presence
  • 居ることのリスク The Risk of Presence
  • データ監視。Dataveillance
  • CCTV iSEE \http://www.appliedautonomy.com/isee.html\
  • 「監視社会論は理論的に弱い」(田畑)

地理的情報格差 Digital devide

  • 人間関係の再編成
  • プチ家出、遠隔ナショナリズム、電子的に拡張される親密圏。みまもりホットライン

参考文献

  • 若林幹夫「「情報都市」は存在するか?」 西垣通+NTTデータシステム科学研究所編『情報都市論』NTT出版、2002
  • ウィリアム・J. ミッチェル『シティ・オブ・ビット』彰国社、1996
  • ウィリアム・J. ミッチェル『e-トピア:新しい都市創造の原理』渡辺俊訳,丸善, 2003 田畑 暁生「監視社会論の射程」『人間科学研究』第10巻第1号、2003. [http://www2.kobe-u.ac.jp/\~akehyon/kanshi.html]
  • 松村秀一「21世紀の今,フラー,イームズ,そしてプルーヴェに学ぶ」ギャラリー間編『建築の向こう側』TOTO出版,2003
  • 「監視社会」『ナショナルジオグラフィック』2003年11月号(第9巻第11号),日経ナショナルジオグラフィック社, 2003
  • 環境情報デザインワーキンググループ「環境情報デザインカタログ」『10+1』第33号, INAX出版,2003
  • 五十嵐太郎『過防備都市』中公新書ラクレ No.140,2004
  • デイヴィッド・ライアン『監視社会』河村一郎訳,青土社,2002
  • ウォルター. J・オング 『声の文化と文字の文化』藤原書店, 1991

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2013年06月13日 03:11に投稿されたエントリーのページです。

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