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2011年03月 アーカイブ

2011年03月21日

東北関東大震災から十日

3月11日の地震から十日たちました。

ご心配をおかけしておりますが,本江とその家族は無事です。泉区の自宅も少々ゆがんで建付けが悪くなったものの倒壊は免れ,電気と水も復旧しています。あとはガスですが,仙台市ガスの製造工場が津波でやられたため,まだかなり時間がかかりそうです。

津波に襲われた地域とは比べるべくもありませんが,ダウンタウンを含む仙台市の内陸地域は建築の被害も少なく,ガソリンはじめ目下の物資不足が解消していけば,直ちに機能回復していけるものと思います。

東北大学は卒業式が中止され,すべての学事日程は4月下旬まで延期となっています。詳細は適時,東北大学のホームページでご確認ください。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/

青葉山キャンパスの被害は比較的大きく,我々の研究室のあった人間環境系研究棟は,応急危険度判定で「危険:立ち入り禁止」となりました。研究教育活動の再開は目処が立っていない状態です。

学生たちの多くは帰省・疎開しています。仙台に残りボランティア等の支援活動を行っている者もいます。

突然の中断を余儀なくされた様々なプロジェクトを,徐々に再開していきたいと思いますので,現状をご理解の上,引き続きご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。

2011年03月25日

卒業おめでとう

今日は東北大学の卒業式が行なわれるはずの日でした。

3月11日からの震災で,卒業式は中止されてしまいました。

あなたが建築を学んだ製図室や研究室のある建物は大きな被害を受け,立ち入り禁止になりました。黒板塗装の壁にお祝いをメッセージを書き込んでひとりひとりに学位記が渡されるはずだったギャラリートンチクも無人のままです。

とりわけ残念なのは,デザイン講座の伝統になっていた,追いコンで在校生から卒業生へ似合いの本をプレゼントするというイベントを観ることができないことです。きわどい本から賢そうな本まで,涙と笑いのバランスを取りながらの趣向を凝らした選書ぶりは,何より嬉しいはなむけになっていることだろうと毎年感心していたのですが,今年はそれもできませんでした。

荒ぶる大地と水と,もはや人の手には負えぬ炎によって,途方もない災厄がもたらされました。

おびえた人々の不安と興奮が世界を包んでいます。ずっと体裁をとりつくろってきた様々な化粧が剥がれ落ち,世界の地金があらわになっています。美しいものがより輝きを増している一方で,見るに耐えぬ不愉快な姿を見ざるをえなくもなっています。

そして,よりにもよってこの厳しい試練の中に,社会に庇護される学生の身分を離れ,あなたは自ら歩みださなければなりません。

恐ろしい災厄に居合わせ,多くを失ってしまいましたけれど,あなたの命が奪われることはなかった。あなたには担うべき役割があるのです。

あらためて志を立てる時です。
この喧騒のただ中においてこそ,静かな声で。
足下が揺らいでいるからこそ,遠い眼差しで。

あなたの活躍を心から祈っています。
卒業おめでとう

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