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『自分をいかして生きる』

を読む。
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"自分をいかして生きる" (西村佳哲)

西村さんらしい、とても柔らかい言葉で書かれているけど、指摘していることはやさしくない。
いわゆる成功ノウハウ本や自分探し応援本を期待して読むとかえって辛いにちがいない。

がんばって奴隷頭になったとして、でもそれって奴隷のままですよね?
…みたいなことをいう。微笑みながら、冷酷に。
ほとんどニーチェだ。

凡百の成功ノウハウ本のなんとなく卑屈な感じは、奴隷に奴隷頭になる方法を教えようとしているからなのだなと気付く。

ネタバレになるけど終わりのほうにあるように、本書のタイトルは反対を考えるとよくわかる。
つまり、「自分をころして生きる」の反対。

自由と誇りについて考えている。
ラジカルでストレートな問が続く。
したり顔の利いた風な答えでは満足しない。
答えのようにみえるものをこそ、いぶかしむ。
矛盾を引き受けられるようになることが成熟である、なんて言わない。
素直すぎるのでかえって遠回りしてしまう。
保護されてプヨプヨと腫れ上がってしまった尊大な自意識からは遠く遠く離れた、冬の広葉樹のような固くてキュッとした自意識のありかた。

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2009年10月23日 23:26に投稿されたエントリーのページです。

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