と題する展覧会を、京都造形芸術大学ギャラリーRAKUにて開催しています。
●会期 : 2009年9月30日(水)−10月11日(日)
●会場 : 京都造形芸術大学 GALLERY RAKU
●開館時間 : 11時00分〜19時00分【最終日は17時00分まで】 / 会期中無休
●入場 : 無料
●協力 : 東北大学大学院 都市・建築学専攻 本江研究室(ITコミュニケーションデザイン)
●協賛 : カシオ計算機株式会社
●出品者 : 阿部仁史+本江正茂/wowLab
2006年にツォルフェラインで公開して以来、いくつもの場所で公開の機会をいただいてきた MEGAHOUSE ですが、日本での本格的な展示は、せんだいメディアテークでのカルチュラルタイフーン2008での展示についで2回目。今回は、中央の4面スクリーンのインタラクティブ「試着室」を、周囲8面に分割したモーショングラフィクスで取り囲む構成にしています。
このパノラマモーショングラフィクスは、BIACS3展で制作したもの再編集し、LANでつないだ4台のMac mini それぞれから2画面を送出し、8面の映像を同期して投影するプログラムで動作しています。このシステムはwowlabの制作によるもの。
初日のギャラリートークは、京都造形芸術大学からファッション社会学の成実弘至さん、アーティストの椿昇さん、建築の松岡聡さんに、wowlabの長崎智宏さんと本江。100名を越える来場者がありました。椿さんの、アーティストの不法占拠が逆にジェントリフィケーションとして評価されていること、アートのマーケットが閉じたオークションの支配からネットのオープンな取引になることによってむしろ価格が上がったこと、一泊朝食だけで夕食のない、純粋に空間を楽しむ旅館の使い方が「片泊まり」として定着してきていることなどの話、松岡さんの使い方のデザインがますます重要であり、ヤクルトおばさんが独居老人を見舞うサービスなど空間のリサイクルにとどまらずシステムのリサイクルがはじまっているという話、成実さんからは生活の分散化という視点と考現学との関連の話など、私には非常に収穫の多いディスカッションでした。少々本江がしゃべりすぎて、wowlabの官能的な仕事について言及できなかったのが反省点。wowの映像のデモはみな食い入るように見ていましたから、いわずもがなだったかもしれませんが。
これまでは、MEGAHOUSEを現代的な状況認識のアイロニカルな提示だと説明して終わりにすることもあったのですけれども、今回の議論を通じて、人々の空間への欲望あるいは想像力はもっと大きくすることができるはずで、それを阻害しているものが都市の空間的資源を利用する権利がうまく分配されていないことであるなら、そこに新しい回路をつくって流動性を高めればよいのではないか、そのための思考実験として、MEGAHOUSEはあるのだなとあらためて感じた次第です。
お近くの方は、ぜひご笑覧くださいませ。