『文房具を買いに』の続編。
どんな文房具でもそのいっぽうの端には、それを使う人の体の動きという、これ以上ではありえない具体性が、最小単位としてかならずある。そしてもういっぽうの端には、きわめて大づかみに極限的な一般論をごく簡単な言葉で言うなら、人間が世界を作り替える試みが、かならずつながっている。(p.41)
すべての道具がわれわれを魅了してやまないのは、人間の世界へのかかわりあいかたが凝縮して形をなしているからだ。なかでも文房具は「世界を作り替える試み」を考えてみるのに使われ、すすみぐあいをたしかめるのに使われ、その結果を書き残すのに使われる。それは記号を処理するための道具であり、道具の中でもとりわけ人間的な道具だといえるのではないか。
コメント (1)
ごぶさたしています。
佐藤優『獄中記』を読んでいたら、囚人になると欲望は小さくなるが、文房具と食品に対する執着が強くなると書いていました。
自分が買えるのは40枚のアピカノートなのに、健司がコクヨの100枚ノートを使っているのがうらやましくて仕方がないと・・
なかなか迫力のある記述だなと思いました。
投稿者: ヱ | 2009年05月01日 12:41
日時: 2009年05月01日 12:41