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を読む。
"メイキング・オブ・ピクサー―創造力をつくった人々" (デイヴィッド A.プライス)
ピクサー設立からディズニーに迎えられるまでの物語。テクスチャマッピングやらレイトレーシングやら物理シミュレーションやら、コンピュータグラフィクスの技術開発と歩みを揃えてピクサーが進んできたことがよくわかる。
同時に、徹底的なリサーチに基づきつつ、誰もが楽しめるストーリーの構築がいかに丁寧に行われているかも面白く読める。「ニモ」のための海中のCG映像があまりにリアルで、魚のキャラクターが浮いてしまったので、より絵画的なものに調整した、とか、「この魚はこうは動かない」と粘る魚の研究者と、よりアニメらしいリアリティのある動作を求めるアニメータとの対立に、「そこまで言うなら、そもそも魚はしゃべらないぜ」とひっくりかえしたり。
ディズニーのアイズナー会長とスティーブ・ジョブズの確執など、クリエイティブ産業の経営バトル物語としても面白い。
ピクサーのアニメを劇場で観ると、いつも最初に単純なコントのような短編アニメがかかる。しかし、ピクサーにとって、技術開発とデモンストレーション、そしてスタッフのモチベーション維持のため、これら短編アニメの意義は非常に大きいようだ。
本書で言及される実験短編アニメのほとんどは、下記のDVDに収録されていて、読んでから見るとその位置づけもクリアになって興味深い。ピクサーの歩みについてのドキュメント映像もついているが、本書とはちょっとトーンが違っている感じ。
"ピクサー・ショート・フィルム&ピクサー・ストーリー 完全保存版 [DVD]" (ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント)
をいただきました。
■ デザイン教育の先駆的試み−国際建築ワークショップ−
阿 部 仁 史(東北大学客員教授・カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)
石 田 壽 一(東北大学教授)
小野田 泰明(東北大学教授)
本 江 正 茂(東北大学准教授)
堀 口 徹(東北大学助教)
中 田 千 彦(宮城大学准教授)
槻 橋 修(東北工業大学講師)
はじめに
aitcd_2009_01.pdf
次回は4月22日です。
もう少し収容人数の多い教室を探しますが、とりあえず109大学院講義室に集まってください。
古本で『SIGHTSEEING』という写真集を買った。
中ほど、イースター島のページに紙焼きの写真がはさんであった。
床に白い敷物をして、球や円錐やらの石膏像をならべ、デッサンをしているところ。美大か予備校のアトリエだろうか。カメラを床において撮ったらしい構図。2007年に出た本の中にあったのだから古い写真でもないと思うが、デジカメではないようだし、プリントの裏面にタイムスタンプもないから30分プリンタでどんどん焼いたものではなく、もしかしたらフィルムから自分で焼いたものかもしれない。
古本の書き込みや栞に前の持ち主の気配を感じるのはいつもおもしろいことなのだけれど、この何気ない写真の持つ温度にハッとさせられた。
その場で起きている経験の中心から微妙に外れた位置に立って新しい景色をメタに見るという、この写真集の内容とシンクロする視点で撮られていることも、強い印象の理由だろう。もしかして狙ってそう撮った写真だったのかもしれない。
この写真集はとてもいい。観光地で、必死になって人のいない瞬間を狙い、絵はがきのような写真を撮って満足するのはなんだか妙なものだと、自分でもついそうしながら、ずっと不思議に思っていた。この手があるな。
金髪と金閣とか色の韻みたいなこともおもしろいけど、なによりいいのは、観光地で記念写真におさまる人たちが一様に心浮き立つ表情でいることだ。よい顔だ。
股にはさんで歩くのを助ける装置。
新しい乗り物ような、家具のような、ロボットのような。
ASIMO開発からのスピンオフのようです。動画必見。
特に、体重支持型が興味深い。現状では「自力での歩行が可能な人」に限定されているようだが、脚が悪くて立つのがやっと、中腰は無理、階段は下りられない、というような「自力での歩行が可能といえば可能だけど…あんまり歩きたくない人」はたくさんいて、今は車椅子に乗らざるをえなかったりしている。そこまで展開できるといいなあ。
空間のバリアフリー化は進められているけれども限界がある。自然の地形を平にならすことはできないわけだし。足の悪い人でも足下の悪いところで働けるなら、ダイバーシティマネジメントの可能性は大きく拡張されうる。
ただ、中腰姿勢の維持や段差の克服が主な活用イメージとされているところをみると、あくまでアシストで、滑って転びそうな時にこの装置が能動的に脚を出すことはできないように見える。それができるようになれば、さらに利用者の幅はひろがるが、技術レベルとしてはかなり違うのだろうな。事故の可能性も大きくなるし。
個人的にはASIMOよりずっと興味深い。期待してます>Honda
本江研はじめ,東北大学大学院,都市・建築学専攻を受験するためには,あらかじめTOEICを受けて,そのスコアを得ておくことが絶対に必要です。
東北大学工学研究科・工学部 | 入試情報|TOEIC、TOEFLの利用について
まだスコアのない人が大学院受験申込に間に合うようにTOEICのスコアを得るには、4月23日12時締切(インターネット申込)のTOEIC試験に申し込まないといけないようです。
東北大学大学院を受験する可能性が少しでもあるとお考えのかたは、必ずTOEICをうけておいてください。
TOEICの詳細については下記に。
TOEIC(R)|TOEICテストの実施運営を始め、人と企業の国際化を推進します
ここでしくじると、気がつくと受験資格がない、ということになってしまいます。
お気をつけください。
2009年4月18日に日本オフィス学会の第10回大会が大阪大学吹田キャンパスコンベンションセンターで開催され、博士課程の池田晃一君と一緒に参加しました。
発表は、ごく短い時間でしたが、次の1編。
池田晃一、本江正茂「働くことを測ること:ワークプレイスデザインメソッドの確立に向けた作業者行動の観察」日本オフィス学会第10回大会予稿集、pp.87-93, 2009.4
もとになっているのは、日本オフィス学会の最初の学会誌に投稿した下記論文。
池田晃一、本間茂樹、後信和、本江正茂「平面画像によるモニタリング手法の開発および活発度指標の提案:創造的なグループワークに関する研究(その1)」日本オフィス学会誌 vol.1, no.1, pp.37-44, 2009.3
日本オフィス学会の第10回大会で、聴いたもののなかでは圧倒的に、知的照明のプロジェクトについての同志社大学の三木光範先生のプレゼンテーションがおもしろかった。
机上750lx(へたる分を見越しておくので最初はもっと明るい)で色温度5000k とか、もっとも明るい状態を好む人にあわせてとにかく過剰に明るい現在のオフィスの照明を、個別に制御できるようにする(知的照明システムで動かす)だけで、誰もが自分好みの照明環境を得られ、しかも電気代は下がるという提案。
この、今すでに過剰になっているものからマイナスすることによって、価値が創造されるという構えが非常に現代的。
誰もが栄養失調よりも肥満を恐れているのだから。
我々のものも含めて、つい何が足らないのか、という構えから入ってしまい、これを足すとよくなります、という結論になってしまいがち。じゃあ、費用対効果はどうなのよ、ということになって、結果、新しいものを足す、ということにはなかなかならないのである。
人間は手段と権限が与えられ、コントロールが容易ならば、環境を最適に自ら調整する。
何が「最適」かは当事者である人間が決める。
人間は、何が最適か、は場合によって異なることを自ら発見することになる。
万人に最適な環境というものもないことも知る。
自らつくった最適環境には責任が生じる。
手段と権限を与えてくれた組織への愛着が生じる。
……という三木先生のストーリーはキレイなんだけど、キレイすぎて、そうでもないんじゃねえかなあ、と思ってしまうところはあるのだが。
本日から、建築ITコミュニケーション論の教室を2Fの建3教室に変更します。
データの表象
aitcd_2009_02.pdf
次回は2週休講の後、5月13日「空間の表象」です。
教室が建3教室に変更になっていますのでご注意ください。
『文房具を買いに』の続編。
どんな文房具でもそのいっぽうの端には、それを使う人の体の動きという、これ以上ではありえない具体性が、最小単位としてかならずある。そしてもういっぽうの端には、きわめて大づかみに極限的な一般論をごく簡単な言葉で言うなら、人間が世界を作り替える試みが、かならずつながっている。(p.41)
すべての道具がわれわれを魅了してやまないのは、人間の世界へのかかわりあいかたが凝縮して形をなしているからだ。なかでも文房具は「世界を作り替える試み」を考えてみるのに使われ、すすみぐあいをたしかめるのに使われ、その結果を書き残すのに使われる。それは記号を処理するための道具であり、道具の中でもとりわけ人間的な道具だといえるのではないか。