で、献堂40年にあたって行われた大改修が完成したのを記念する展覧会をみてきた。山代悟さんや日高仁さんのユニット、Responsive Environmentの仕事である。
東京カテドラル聖マリア大聖堂大改修記念展
+空間パフォーマンス「SOFT ARCHITECTURE @ St.Mary's Cathedral, Tokyo」
江戸川橋の駅から目白坂をのぼると、小雨混じりの暗い夜空を背景に、特徴的なスカイラインのカテドラルがあらわれた。
もっと爆発的な光量のライトアップを想像していたので、やや拍子抜けする。
まず、聖堂の歴史を写真で見せる地下聖堂を経て、丹下健三の墓所へ。私はクリスチャンではないので、こういうところで、どんな作法で祈ればよいのかわからず戸惑う。
墓所の並ぶ細く長い地下の廊下を抜けて、4枚のHPシェル面で包まれた大空間へ出る。
オルガンの音が静かに響いている。
床から壁面をなめるライトアップ。
LEDの光源が滑らかにその色彩を変化させる。
昼の聖堂は、スカイライトからのコントラストの強い光を受けた壁の量感が圧倒的な空間なのだが、このじわっと変わり続ける人工照明の下では壁の質感はむしろ後退し、抽象的な印象が強まっている。
かなりの数の観客がいるのだが、みんながゆっくりとキョロキョロしている。普段なら十字架や説教壇などが視線を受け止める焦点となっているのだが、今夜はそれら特別扱いされていないので、観衆の視線はどこにも集中することなく、壁面を滑り続けているのだった。山や海の広大な景色を遠く眺めるのとも、装飾に覆われたロココの室内に忙しく視線を走らせるのとも違う、ゆっくりとカメラがパンするような視線の運動は、あまり体験したことのないものだったと思う。
flickrにあげた写真は「星空モード」の長時間露光なので、実際にはこんなに明るくない。