このたび株式会社エルゴソフト(本社:横浜市港北区箕輪町1-23-3、代表取締役社長:松原健二)は2008年1月28日をもって、日本語ワープロ「egword Universal 2」、「egword Universal 2 solo」ならびに日本語入力システム「egbridge Universal 2」の販売を終了し、パッケージソフト事業を終了することを決定いたしました。
パッケージソフト事業終了のお知らせ
Macむけ日本語ソフトの老舗エルゴソフトがパッケージソフトの販売を終了するそうだ。
egbridgeとegwordがなくなる。会社がなくなるわけではないが,パッケージソフトがなくなれば,私とエルゴソフトとの接点はまったく失われる。今使ってるものはそのまま使えるし,オンラインサポートは続くけれども,ソフトウェアの開発が継続されないことが宣言されると,潮が引くように,ユーザは離れていく。寂しいが,やむをえない。
この知らせをメールで見て,
「egwordも買ってやれば良かった」
……と,何様のつもりだといわれそうだけど(笑),そう思った。
私は,昔からATOKは何度も買っては馴染めず,またWXに入れあげたりもしてきた。このところずっと,入力ソフトにはegbridge Universal を 1から2へアップしつつ使ってきた。いま調べてみると,ことえりの遅さに耐えきれなくなって,2006年8月10日にことえりから乗り換えている。もっと前だと思っていたが,案外最近だったことにむしろ驚いた。2にしてから一年もたってない。Leopardにいち早く対応して,さすがと感心したのもつい最近のことだ。なので,この突然の発表には驚いた。それで,先のような感想をもったのだ。
たしかにプレスリリースにあるように,「Mac OS Xにおける日本語環境」は一定の「成熟」をみたのかもしれない。しかし,オルタナティブがなくなると思うと,お尻のあたりがそわそわしてしまう。
システム標準ではない入力ソフトをわざわざお金出して何度も買った気持ちのどこかには,日本語を扱うソフトのオルタナティブのためのニッチを残しておきたいという感情があった。大袈裟ではなく。
入力関係にかぎらず,私はシェアウェアフィーはちゃんと払うし,フリーソフトへの寄付も割とよくする方だと思う。些少ではあっても,この「投票」によって,ソフトウェアの多様性を確保したいという思いがあるのだ。
バージョンアップ費用などを,冗談まじりに「お布施」とか「税」などという言い方をすることがあるが,これは案外本質をついた言葉遣いだと思う。料金と引き換えに商品を買い取るというのとは違って,「生態系」を維持するための費用を負担しているというイメージが確かにあるのだ。
パソコンと日本語の関係におけるエルゴソフトの歴史的意義については様々な記事が出るだろう。エルゴソフトのブランドは失われても,そこで踏み込んで日本語の問題を扱った技術はどこかに伝承され,オルタナティブの生態系が持続されていくことを期待したい。共感できるものであれば,また買いますから。