藤井 咲子『おじいちゃんの封筒―紙の仕事』ラトルズ、2007
大工を引退したおじいちゃんが、ありあわせの紙を接ぎ合わせて、しかし律義に丹念に、15年にわたってつくり続けた「封筒」の写真集。その作業を「紙の仕事」と呼んでいたという。
著者は封筒製作者の孫なので、書名が「おじいちゃん」の封筒なのだけれど、私は父を思わずにはいられなかった。そして、私自身がこんな風に「封筒」を作る姿も親しく想像しもした。
手紙を書き続けるのではなく、封筒を作り続けること。
私には隠居の才能があると自負しているのだが、まだその時期にあらずと無理に自分を鼓舞して仕事をしているようなところがある。こういうものにグッと来るってのは、ちょっと疲れているのかもしれぬ。
コメント (3)
ちょっと読んでみたくなりました。
15年間ずっと同じ封筒を折り続けたのでしょうか?
投稿者: ぐりこ | 2007年04月26日 23:03
日時: 2007年04月26日 23:03
こんにちは
いえ、ひとつとして「同じ」じゃないんです。
なにしろ紙が全部違います。小さい紙なら接ぎ合わせ、厚い紙は削ぎ、気に入らない印刷はやすりで削り落としたりしているそうです。
パターンはほぼ同じですが、手作業だから大きさや形も微妙に違います。でもゆがんでるのを「手仕事の味」と称して愛でるようなものではまったくないのです。
それぞれの封筒がまったく違う表情がありますよ。
投稿者: もとえ | 2007年04月27日 01:25
日時: 2007年04月27日 01:25
素敵ですね。
何気ないものでも毎日続けていたら、大きな力になるんですね。
あたしは、ずっと続けていたものをここ2年くらいやめてしまっています。それまではやめることを知らなくて、続けていることが当たり前でした。でも、やめるとどんなに大好きでどんなにやりたくても、再開するのは続けるよりも大変だと言うことを痛感しました。
投稿者: ぐりこ | 2007年04月27日 19:54
日時: 2007年04月27日 19:54