押し開くとバルコニーになる窓。
集合すると,いかにもオランダ現代建築らしい表情になりますな。
オランダの建築事務所Hofman Dujardinの作品。Design/Productのところから。
ユトレヒトの建材見本市?に出展されているようだ。
まあ,ありがちなアイデアだといえばそうだが,おもしろいと思ったのは,バルコニーが,固定の空間の実体ではなくて,窓の開け具合で現出する現象としてセットされていること。
日本のマンションのバルコニーは,多くが掃き出しの引き違い窓なので,もともと開口率は半分しかない。しかもバルコニーに出ても,ガラス戸を閉めることができてしまう。いきおい,洗濯物だとか,空調室外機だとか,季節外れのスキー板だとか,植木だとか,濡れてもかまわない,室内には置きにくいものの置き場所になってしまう。
こいつは物置にはまったくならない。窓を開けて,そのまま外気に吹き放たれた空間へ身を乗り出すという一連の行為がそのまま形になっている。しかも,開いた時には,室内外をしきるガラスがなくなる。
しまった状態では高窓になってしまって眺めが悪いように思うが,逆にだからこそ開いた状態とのギャップが大きくて面白いのではないか。むしろ透明ガラス部分は不透明の板でいいのではないかと思う。
バルコニーという空間に畳み込まれているたくさんの機能のうち,外気に身を乗り出せるようにするという機能だけに特化することで,窓としての性格がクリアになっている。フレキシブルにすることで,モノにこもる重層的な意味がこぼれ落ちて,すっと単純化してしまう例だともいえる。
私は持っていないけれど,オープンカーの屋根を開ける感じと似ているのではないかな。
ディテールも共通する考え方でいけそうだし。
コメント (3)
僕は咄嗟に、ヨーロッパの中世のお城の、分厚いゲートが前に倒れて掘割のブリッジになるあれを思い出しました。ごついチェーンがついてるやつ。
投稿者: 石川初 | 2007年02月28日 15:23
日時: 2007年02月28日 15:23
オープンは、開放がデフォルトです。幌は緊急避難的に使う、傘のようなものです。傘を閉じたら開放感、というのではなくて、傘さすとウザいなあ、と、そんな感じです。ええ冬でも傘なんかさしませんよ。真夏は日傘代わりです。
投稿者: もとなが | 2007年02月28日 18:55
日時: 2007年02月28日 18:55
GPS電波もよく入るしね。>オープンカー
投稿者: 石川初 | 2007年02月28日 22:20
日時: 2007年02月28日 22:20