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大島芳樹のカリフォルニア日記:[アラン・ケイ] 東大での講演
アーキテクチャについて。ピラミッドは、ひたすら大量のごみを何十年もかけて積み重ねて、表面を大理石で覆ったようなものだった。まるで今のソフトウェアのようである。エンパイヤ・ステート・ビルディングは、3000人以下の人が11ヶ月(前に建っていたビルを破壊するところも含めて)で建てたもので、非常によく計画されていたので、ピッツバーグの製鉄所から運ばれてきた鉄がまだ暖かいうちに使われていたくらいだった。これこそが"engineering"というものであろう。engineeringという言葉を聴くと、吊り橋やジェットエンジンのことを思い浮かべるが、ソフトウェア作りはまだそこまで達していないと思う。1968年にソフトウェアエンジニアリングという言葉が作られたとき、作った人々はまだソフトウェアはまだエンジニアリングと呼べるまでに達していないということは理解していて、「そちらを目指すべきだ」という意図を持っていた。が、問題なのは、今の人は「ソフトウェアエンジニアリング」というものがちゃんと存在していると思ってしまっていることである。
ソフトウェアが達成できているのは、建築で言えばゴシック建築のようなもので、アーチの発明によって百万分の一くらいの材料によってピラミッドと同じ高さのものが作れるようになったというくらいである。いくつか良いアーキテクチャとアブストラクションはある。が、アセンブラに対するFortranやAlgol、Algolに対するSimula、Lisp、Smalltalkのように、その前にあったものに対して質的に違う抽象化を提供するというアーチのような新しいものは30年ほど出てきていない。
後段に出てくる"and miracle happens" の話も実に興味深い。
コメント (1)
面白いですねえ。でもアラン・ケイの話を読んだ後はどうしてもガックリしてしまいます。作業をする気が減退するというか。完全にダメ出しされたものを使って、徒労を重ねているだけに思えてくる。これまでも、そしてこれからも。
「なぜ」という問いをするかぎり、最後にはどうしてもmiracleが残る気がしますね。
投稿者: もとなが | 2007年01月25日 15:45
日時: 2007年01月25日 15:45