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Bigness and Tokyo

と題された八束はじめさんのお話は大変におもしろかった。2006年12月22日のハウスレクチャで聞いたのである。

丹下健三,浅田孝,下河辺淳,磯崎新,メタボリストたち,鈴木俊一……
そして,道化はゴジラ。

磯崎の空中都市を使った丸の内計画と現在の百尺基壇+超高層の丸ビル。あるいは旧都庁舎と新都庁舎。それらの違いを細かく言い立てるよりも,両者の連続性を論じうる長い射程のパースペクティブをもつことの方がおもしろいという指摘には共感した。

話の中で,丹下研究室の研究活動が詳しく紹介されたのを興味深く聞いた。丹下研は人脈とデザイン作品では知られているものの,研究活動はあまり知られていないのではないか。丹下らの研究は,成長する日本社会の方向性を見定めようとし,人口流動の検討から大都市への人口集中は必然であるとして,メトロポリスの問題が集中することになるはずのオフィスと住宅と交通に焦点を当てるものであった。それが結実したのが「東京計画1960」なのだ。

丹下研の研究に関する部分は,建築家の豊川サイカクさんが掘り起こしてまとめた(審査直前の)博士論文に多くを負うのだそうだ。豊川さんも会場に来ておられ,質疑応答に参加された。

今日の我々に,丹下が描いた成長にむかう都市ビジョンに匹敵するような,縮減する都市のビジョンは描けるのか。

八束さんは,東京計画2010というようなものがあるとすれば,それはなんらかのリサーチでしかありえないのではないかと言っていた。そうかもしれない。同じ方法論ではありえないだろう。

思えば,中西泰人さんが夏ごろから,しきりに丹下健三スゲー!と言っていて,東京計画1960を熟読中だと盛り上がっていたのだった。正直言って,私はピンと来てなかったのだが(笑),今日の八束さんの話でいろいろ脈絡がついたような気がした。「東京計画1960」と豊川論文をあわせて読んでみることにしよう。

その後の2006年建築都市事件をめぐるトークは例年のようにゆるく進行。ちょっと長引いた。

菅野美術館は阿部さんが照れてスルーしたが,建築そのものの問題もさることながら,地方都市の文化施設のありようの問題としてちゃんと話をすればよかったと,司会としては少々反省しているところ。

コメント (2)

naka:

僕のいまの作業もきっとそんな感じです、というか、だといいなぁ(笑)。八束さんや豊川さんのお話も聞いてみたいなぁ。豊川さんの論文はどこかで入手できるのでしょうか?

もとえ:

豊川論文はドラフトを直接もらったのですよ。今度お貸しします。

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2006年12月24日 01:19に投稿されたエントリーのページです。

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