MORI LOG ACADEMY: 工作とは:
工作とは、破壊が伴う行為であり、不可逆的なものである。作るために、なにかを壊す。たとえば、穴を開けたり、切ったり削ったり、溶かしたりする。もう、元には戻せない。だからこそ、この一線を越えて、自分だけのものになるのである。レゴなどのブロックは工作ではない。ミニ四駆でも、買ってきたパーツをネジ止めしただけでは工作ではない。同じ状態が誰でも再現でき、また元に戻せるからだ。一方、部品を削ったり、接着(一種の融解)すれば、そこにその人の技術が現れ、オリジナルなものになるし、既に部品は消耗し、新品ではなくなる。
森はこの文脈で「パソコンは自作できません」という。不可逆的な「工作」の対概念は,もとにもどせる「カスタマイズ」だ。
だけど,迷いに迷ったあげく,なけなしのお小遣いで新しいパーツを買って愛車に組み付けるとき,そのミニ四駆だけを見れば「カスタマイズ」だけれど,その子の世界は確実に少し壊れていて,もう元には戻らない。
学習/教育は不可逆な「工作」のプロセスであって「カスタマイズ」ではありえない。知らなかったことにはできない。
お気楽な「カスタマイズ」のつもりだったけど,それは不可逆な「工作」だったんだってことを思い知らされているんじゃないか。