をDVDで見る。
合田健二監督。2005年。
土岐謙次さんに勧められて。
ANALIFE は 穴ライフ で アナル ライフ。
夜な夜な女性宅に忍び込むレイプ中毒者。連続殺人鬼の犠牲者の写真を撮影しデジタルエフェクトをかける女。他人の家のゴミ袋を漁り、ゴミの「声」を聞きながら自慰にふける男。それぞれを主人公にした3つの短編。
主人公たちの淡々としたモノローグと、過剰にかけられた映像へのデジタルエフェクトとが不思議にバランスして、濃密で独特の世界をつくりだしている。
過剰で濃密な映像は、「森」の主題と接続している。
森は虚ろでありながら何者かに満ちている。
主人公たちの脳裏には「森のクマさん」の歌がループしている。
出口がない森を、主人公たちはさまよっている。
それぞれに肛門に傷を負って主人公たちは肛門科の医院に集まる。
医院で「クマ」にであう。センスがない、リアリティにとぼしい、このスイッチでおまえらを消すこともできるんだぞと主人公たちを理不尽になじる二人は講評時の美大教師(建築も同じだ)のようにみえる。
3人の「森のクマさん」の輪唱は、歌詞につまる。やっと「白い貝殻の小さなイヤリング」が出る。白く輝く巻き貝は露骨な比喩だ。
詰まるけど出る、出るけど出ない。
クマたちとのダイアローグは失敗し、彼らは勝手にどっかに消えてしまう。
3人は森を切り開いたであろう郊外のニュータウンに放り出される。
森を出ることができたのか?
詰まるけど出る、出るけど出ない。
それは偽の出口だ。