を読む。
三浦 展『脱ファスト風土宣言―商店街を救え!』新書y, No.152, 2006
同じ著者の『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理』の続編。三浦は編者となって,前著で指摘した「ファスト風土化」という問題点への具体的な処方を実践している人々の論考が集められている。ただし,タイトルだけを読んで,荒んだ商店街を直接救済する特効薬を記したマニュアルを期待して読んではいけない。そのようなものがあると考えてしまう態度そのものがファスト風土化をもたらしている元凶だからだ。
各論考はいずれも生き生きとしており,現代的な都市デザインの諸課題が歴史もふまえてコンパクトに示されているから,都市デザインの入門書として読まれても良いだろう。
いずれの筆者も異口同音に「関係性のデザイン」が重要であるとしているのが興味深い。私もこの1月に建築学会の設計方法小委員会で「関係性のデザイン」と題されたシンポジウムをやったところなのだが,本書は都市・建築分野における「関係性のデザイン」の適切な事例集になっていると思われた。