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卒業設計日本一決定戦2006

今年もはじまった卒業設計日本一決定戦。
せんだいメディアテークの6階は360作品の模型とパネルで埋め尽くされている。
Sdl2006

昨日の予選で上位100選を選ぶべく,6時間近く会場を歩き回った。
初期のころには散見された記念受験ならぬ記念出展みたいな脱力したものはすっかりなくなり,いずれの作品も非常に気合いのはいった完成度の高いものになっている。100選の水準は間違いなく高くなり,普通ならかなりいい方だと思われる作品でも,選外にせざるを得なくなってしまった。

逆に,圧倒的に群を抜いた作品というのはなかったように思う。

全体の印象として,テーマ設定が身近な問題にシフトしてきているように思われた。交通系やエコロジー系はやや退潮ぎみで,コミュニティ系やつながり系が増えた感じ。我と我が身のまわりのありようこそが,切実に感じられる問題なのだということだろう。その感覚には共感するものの,ただ,それだけでは,凶暴な社会装置である建築を作って働かせ続けていくに足る推進力を得ることはできないのではないか。自分の身の回りのささやかで切実な問題が起きてしまう構造を捉える視点を得られないと,世界は変えられないのではないか。

ネガティブに印象的だったこととしては,ちょっとひずんだ箱にランダムなポツ窓を開けて敷地内に散在させるというスキームの作品が何個も何個もあって,かなり辟易した。ポコポコ系とひとくくりにされたりしてしまう。もったいない話だ。逆に初期アイゼンマンや藤井博己を思わせる,コンピュータをつかわないで作った「素朴な複雑さ」をもった造形のものがいくつかあり,やけに懐かしく新鮮な感じがした(笑)。

今年は建築資料研究社から日本一決定戦アニュアルブックの出版が予定されており,昨日からその取材クルーが会場をせわしなく歩き回っている。予選から公開審査の模様まで克明な記録が活字で読めるようになるわけで,会場に来られなかった人たちにも,熱気のいくばくかは届けることができそうだ。夏には東京のギャラリー間でも,関連展覧会が開催される予定だ。

このイベントは仙台建築都市学生会議という学生の自主団体が切り盛りしている。楽屋裏の話ではあるが,彼らの奮闘ぶりには本当に頭が下がる。毎年引き継ぎしながら精度を上げてきたワークフローを着実に進めつつ,ホスピタリティの高いイベントに仕上がるように新たな工夫を重ねてきている。アニュアルブックやギャラ間展をさらなる契機として,建築を学ぶ学生のネットワークをさらに広げていくことを期待したい。

私は宮城大学での入試業務のために,日曜日の本選には行かれなくて本当に残念なのだが,いまごろはきっと激しい戦いが始まっていることだろう。

本日の公開審査と,来週までの展覧会,ぜひご覧ください。
◎展示期間 3月12日(日)〜16日(木)10:00〜19:00 6fギャラリー
◎公開審査 3月12日(日)10:00〜19:00 ※審査会13:30〜
詳細は仙台建築都市学生会議のホームページにて。

テクノラティ「卒業設計日本一決定戦」

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2006年03月12日 11:36に投稿されたエントリーのページです。

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