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白と赤のポット

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都内の老舗のホテルに泊まった。
部屋に同型の保温ポットがふたつ置かれていた。
ひとつはベッドサイドにグラスと並んで,白いもの。冷たい水が入っている。
もうひとつは冷蔵庫の上,急須と湯のみの傍らに,赤いもの。こちらにはお湯が入っている。
「おみず」「おゆ」とかかれたラベルの位置が違っているのは,置かれる場所によって,ポットの向きが違っているのに合わせて貼ってあるからだ。ラベルには英語の表記もある。

見れば年期の入ったポットである。「ユーザビリティ」だとか「関係性のデザイン」なんてことが言われるようになるずっと前から,誰かがこの配色を選び,置く位置を決め,ラベルを貼ったのだろう。客室係は毎日間違えずに冷や水とお湯で満たし,正しく所定の位置に置く。客は寝ぼけ眼でお湯を使ってしまうこともないし,急須に冷や水を注いでしまうこともない。

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2006年03月05日 10:40に投稿されたエントリーのページです。

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