今年も開催されたコクヨデザインアワード。
審査委員長は佐藤卓,テーマは「奥行き」
単にスタイリッシュなだけのものではなく,基本的な機能のありかたを問い直した作品が選ばれるというこのコンペの性格が,よく現れた受賞作品ばかりで,すごくおもしろい。どれも売ってたら買う。各作品のビジュアルも例年よりぐっとグレードアップしたような印象だ。
特に印象的だったのは「消刻」。切り抜かれた後の,裏もまた美しいと思われ。透かし彫り系ということで,レース状の付箋「Hansel & Gretel」と対をなしているよう。
ところで,基本機能の問い直しを迫るからには,見てくれの調整や,アイデアの一発芸にとどまらない綿密な検討が不可欠だ。
審査員の山中俊治は総評で次のようにいう。
ただし、そうした基本機能から見直すアプローチは、試作と改良を経なければアイデアが完成しないのも事実です。コンペにおける提案ではありますが、うまくいくかなあ?と疑問を持ったときに簡単な実験をしてみることは、デザイナーの最低限のマナーだと私は思います。
せっかくのアイデアが画餅に帰すことのないように,実験をしてみる。
どんな実験をすれば実験をしたことになるのか。
実験のデザインもデザイナーの仕事。研究者も同じだ。