「ホワイトハウス」というテレビドラマでやっていた話。第1シリーズ第14話。
川辺に男が住んでいた。
ラジオをつけると,その川が氾濫するという。
しかし,男は逃げようとしない。
——私の信仰は深く,日々祈っている。神は私を愛してくださっている。きっと助けてくださるはずだ。
水かさが増してくる。ボートが近づいてきて男にいう。
——洪水だぞ,早くボートに乗れ!
しかし,男は逃げようとしない。
——私の信仰は深く,日々祈っている。神は私を愛してくださっている。きっと助けてくださるはずだ。
いよいよ水かさが増してくる。ヘリコプターが飛んできて梯子を降ろし男に叫ぶ。
——洪水だぞ,早く梯子につかまれ!
しかし,男は逃げようとしない。
——私の信仰は深く,日々祈っている。神は私を愛してくださっている。きっと助けてくださるはずだ。
そして男は溺れ死ぬ。
天国で男は神にむかっていう。
——私の信仰は深く,日々祈っていた。神は私を愛してくださっていると信じていた。なぜ助けてくださらなかったのですか。
神は答える。
——ラジオでも知らせたし,ボートとヘリコプターもやったのに,なぜお前はここにいるんだ?