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杉本博司「時間の終わり」

を見てきた。とてもよかった。

MORI ART MUSEUM [杉本博司 時間の終わり]

会場構成も,杉本自身がやっている。森美術館でみたいくつかの展覧会のなかでは,もっとも緊密な構成だと感じた。入り口に近い《観念の形》シリーズのところなんて,英雄(の後ろ姿)的でとてもかっこいいし,《松林図》の先にある《護王神社》の模型には顔を突っ込んで,ぜひ東京湾を見ておくべきだ。

《ジオラマ》が並べられている空間が,それこそ,よくある博物館のジオラマの空間とプロポーションが似ていて,そこに脈絡のないシーンが並んでいるものだから,実像を模した虚像たるジオラマが再度写真という虚像になることによって逆に実像に見えてしまうというこのシリーズのおもしろさが,ここでもう一度反転して,かえってジオラマらしいジオラマに見えていたのがなんだかおかしかった。

とにかく,写真集や雑誌で小さな図版を見るのとは,そりゃもう全然違う体験だから,ためらわず見に行くべし。写真を展覧会で見ることの楽しさにあふれている。しっとりしたプリントの肌理を堪能しつつ,剛胆な空間構成を楽しもう。

よかったぶんだけ,苦言も。

《海景》は照明がずれちゃってるのがいくつもあって,がっかり。画面の中身より照明の影のほうがコントラスト高いんだもの。

あと音のこと。設備系の音かと思うけれど,ものすごい高周波のキーンという音がしてたのがひどく耳に障った。入り口あたりの「気をつけてエスカレータに乗れゴラァ」というアナウンスの繰り返しも同様に。

無闇数多い黒服の案内スタッフがやけに慇懃なのにも,帰り道に延々と土産物屋の前を通らされるのにも,もう慣れたけど。

追記:
聞いた話なのだけど,耳に障ると文句をつけた高周波のキーンという音は,なんと,意図的に流された音響であるらしい。ホント??

コメント (1)

g-pin:

最終日に見てきました。「海景」のキーンという音は池田亮司氏によるものだそうです。

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2005年09月26日 23:58に投稿されたエントリーのページです。

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