連休中に行われた東北大学,宮城大学,UCLA,ミュンヘン工科大学との合同国際建築ワークショップの最終講評会にゲスト講師として参加した。会場はせんだいメディアテークの1階オープンスクエア。ここでやるイベントは通りがかりの人が見てくれるのでいつも楽しい。地元テレビの取材もあった。
5/4-8の5日間という超短期決戦だが,よい仕事が多かった。たとえば,Dチームの"The Nagare House"は強烈なキャンチレバーに驚かされるが,よく見れば谷の空間との間に実に多様な関係を作り出していたし,Hチームの"living pixels"も会場での講師との議論こそ噛み合なかったものの,機械仕掛けの光る箱と奥の屋外空間との関係は面白く展開しうると感じられた。
課題は,smtのエクステンションとして,滞在型研究者3名のための居住施設を,仙台市内の極小敷地(30平米程度。10カ所の候補地から自由に選ぶ)に作るというもの。ただし,なんらかの"Social Gift"としての空間を含むことが要請されている。これを日米独の混成チーム(6〜7名)で共同制作する。
極小敷地なので,可能なヴォリュームも限られている。そこで,極小のプライベートユニットを分散し,それらを連続的につなぐコモンスペースをスパイラル状に立ち上らせるというスキームが多かった。
だとしても,全体は絶対的に小さいから,得られるコモンスペースは限定的であり貧弱なものにしかならない。極小の個室と半端なコモンスペースからなる全体は必ずしも快適にはなりそうもないように見えた。どの案も,「パブリック−コモン−プライベート」という序列をえらく真面目に引き受けており,それがなんとも窮屈なのだ。せっかく都心立地なのだから,コモンスペースの諸機能は周辺の都市に求め,逆に個室を大きくするようなスキームもありえたのではないか。
海外から参加の学生たちは,日本側学生の下宿にホームステイするという「プライベート極小」生活を同時に体験していたため,このようなスキームを思わず知らず選んでしまうことになったのかもしれない。「寝るときだけ蒲団敷きますから!」みたいなのがいくつもあったのである。「ウサギ小屋」と揶揄された住環境から,我々はいまだ自由ではないのだ。
東北大学からの参加者は大学院生だが,宮城大学の学部生たちも弱年ながらよくがんばっていたと思う。大学のカリキュラムは限定的にならざるをえない。こうした機会に積極的に参加することは重要だ。