を読む。
株式会社竹尾編,織咲誠・原研哉+日本デザインセンター原デザイン研究所企画構成,『FILING—混沌のマネージメント 』宣伝会議,2005
『HAPTIC』と同じ,竹尾+原研哉のシリーズ。
老子の言葉が引かれる。
「知識を獲得すれば,日々ものが増え,智慧に達すれば日々ものが減る」
……我が身のあさましい毎日を反省させられる。
著者は,フルコースのカトラリーではなく箸のような,十徳ナイフではなく鉈のような,ファイリングをしようという。
それって「驚異の部屋」だな,と思っていたら,ちゃんと対談に西野嘉章さんが出てきた。
文字にできる情報は,形式知としてデジタル・アーカイブに格納されていくであろう。暗黙知はモノにも宿っているから,モノとして投げ出されておくよりほかない情報の在り方がある。そういう情報のファイリングについての本である。
暗黙知を扱っているので,ファイルを「共有」することについての知見は少ないように思った。それを期待して読むと,日常の普通の意味での「ファイリング」の実践との間にギャップを感じてしまうことになるだろう。