を読む。渡辺保志さんが紹介しておられたものだ。
フレドリック・ヘレーン『スウェーデン式 アイデア・ブック』中妻美奈子監訳,鍋野和美訳,ダイアモンド社,2005
固定された考え方をゆさぶって,新しいアイデアを出しましょうという話が,やわらかな語り口と,イラストで,絵本のようにまとめられている。よくある話といえばそうだけれども,エピソードも楽しいものがもりこまれている。
大きなナンバーを打ってキーフレーズを並べる手法は,我々の『プロジェクト・ブック 』と通じるものがあるけど,我々の本にはこういう可愛らしさはないな(笑)。
「囚人用ベビーフード」という話。
フロリダでは,春休みになると学生が羽目を外して大騒ぎをするので,警察は対応に追われていた。捉えて留置しても,それがかえってマッチョでクールとされるような風潮もあって,罰を厳しくしてもまるで効果がなかった。そこで署長は留置した学生にベビーフードを食べさせることにした。「留置場帰り」は,もうマッチョでもクールでもなくなった。
「アイデアメーション」というのは,アイデアとインフォメーションをあわせた筆者の造語。誰でも最初に思いつくアイデア,というほどの意味。レンガ一個の使いみちを5通り考えよ,という問題を出すと,「武器」「本立て」「グリル」「ペン立て」「建築材料」のうち二つが必ず答えに含まれているという。そういうものはアイデアとは言わない。「問題は,多くの人がアイデアメーションにすぎないものを素晴らしいアイデアだと勘違いすることです。[p.53]」ああ,耳が痛い。
一度も読んだことのない雑誌を買って読む,というのもよいトレーニングになりそうだ。