を読む。
山本柚実『〈五感〉再生へ—感覚は警告する 』岩波書店,2004
身体と社会の関わり。五感の衰え。偽物の感覚の拡大。そんなことのノンフィクション事例集。アフリカのマサイ族の視力は有名だけど,ものすごく遠くのジッとしている牛を見つけるのは得意だけど,手元で早く動くボールなんかは実は日本人のほうがよく見えているそうで,なるほど感覚は環境が鍛えるのであった。
握手してジャンケンをするゲームというのが出てくる。こどもとやってみたが盛り上がった。アイスブレーキングにはよさそうだ。恋愛じゃないキスやハグの習慣にとぼしい日本人は,他人に触る機会がすごく少ないものな。満員電車ってのもあるが。
事例はどれも面白いのだが,なんとなくものたらない感じはある。いろんな事例を読んで,「やっぱりな」「たしかにな」「そこまできたか」「たいへんだな」とは思うが,思いもよらないことは書いてない。それがそこと繋がるのか!キョーガク!みたいな展開はない。もっとも,私がそもそもお門違いの期待をして,それが外れたと言っているだけであるから,この本の価値はまったく下がらないけど。
著者のウェブサイト:山下柚実 | Yuzu Journal 2002
写真がよい。