ITmediaモバイル:携帯“ポストカメラ”の主役は何か (1/3):
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0412/16/news009.html
ケータイにカメラが搭載されたのは2000年で,ずっとカメラの強化がケータイのハードウェアとしての展開の中心だった。カメラの次は?というのは当然の問いだろう。
学生が使ってるのを見ると,ひとつありそうなのは「辞書」だと思う。授業中に書き物をさせていると,しきりにケータイをいじってる。メール見てるわけではなくてケータイの仮名漢字変換で漢字を確かめている。漢字が分からないときに,紙の辞書を引く人はもういない。でも,辞書はソフトウェアでやることだから,高速安定定額パケ通信があればいいわけでちょっと趣旨からずれる。ハードウェアでどうでしょう。
バイブレータをバイブレータとして使うアダプタ(?)はすでに市販されているようである。スタンガンみたいな武器,というと不穏当だが防犯系ってのもありうるか。それから信仰につかう何か。数珠とか。FeliCa対応の賽銭箱って誰か作ってるかしら。あとは美容系でエピ機能とか…と己の貧困な想像力にヘコんでしまうが,昔,ラジカセにテレビやらCDやら目覚まし時計やら炊飯器やらがゴテゴテと搭載されていった時期があったのを思い出す。「ラテカセ」とか言ってたなあ。(ところで,「GPSおよびカメラ付き携帯電話」を縮めてなんて呼ぶといいか募集中。「イチカメ」ってどうでしょう?「位置カメケータイ」。)
冒頭の記事では,音楽プレイヤー,地上波デジタルテレビ,「お財布」を挙げ,裏では電池が肝だ,と結んでいる。すごく妥当な整理で,その意味ではよい記事だ。
でもちょっと考えると,この三つにはデジカメの画素数競争みたいに分かりやすい指標がないから,これらが「ポストカメラ」だとすると,技術的競争で持続的に購買意欲を煽るという従来の作戦がもう通用しないことを意味していることがわかる。
要するに,ケータイはファッショナブルなものになったのだ。カラフルでスタイリッシュな自動車を売り出したGMが,黒いT型フォードしかなかったフォードに勝ったときのように,定期的なモデルチェンジで購買意欲を煽り続ける自動車や洋服のようなものとしてデザインされるようになる。
au design projectはいまのところ正しい道だと思うけれども,デザイン競争がキャリア主導なうちは伸びも限られている。デザイン・ブランドがケータイを覆うのは時間の問題だ。ケータイは遠からず「腕時計」のように生産され消費されることになるんだろう。