を読む。
西村佳哲,杉浦裕樹,前田邦宏,森川千鶴,辻信一,渡辺保史+せんだいメディアテーク編『共有のデザインを考える/スタジオ・トークセッション記録』, メディアアシスト編集局,2003
ISBNはついているが,普通の書籍流通とは違う経路で頒布される。せんだいメディアテークアーカイブからダウンロードできるPDFで読むか,オンデマンド印刷で入手するか,だ。PDFは無料である。
私はてっとりばやくPDFで読んだ。170ページからの本をまるまるPDFで画面上で読んだのははじめてだったが,けっこういけるもんだな。PDFでもフォトリーディングはできるとわかった。
これは2002年から2003年にかけて,せんだいメディアテークでおこなわれた連続トークセッションの記録書だ。このイベントのコーディネータは渡辺保史。ゲストは,著者の面々である。
なんだかんだと都合がつかなくて,気にはかけながらも,この一連のイベントに一度も出かけることがなかったのだが,それがとっても悔やまれてしまった。トークセッションを原稿に起こしてあるのだが,とても臨場感があるのだ。それだけに,その場に居あわせることができなかったのが残念。
読んで印象的なのは,会場との質疑応答がすばらしいことである。うまくまとめて書きおこしたということもあろうけれど,たとえば「自分たち事」のようなたくさんの新しい言葉が,質疑の場から生まれてきている。そういうことって滅多にないのだけれど,「共有のデザインを考える」ってやつを地でやろうとするとこうなるぜ,というような,主催者だけでない参加者全部の矜持みたいなものを感じた。
追記:
…と書いたら,smtから書籍版をお送りいただいた。本書の企画を継続して,来る9月16日に行われるスタジオ・トークセッションに出ることになったからである。
期せずして,オンライン版とPDF版の両方と向き合うことになったが,企画の成果を「本にしておく」ことの意味を考えるよいサンプルだと思われた。