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スチームボーイ

を見る。
::STEAMBOY::

絵は凄い。鋳鉄とパイプの機械がブリブリしてる。でも退屈。

私にとっての大友克洋は『AKIRA』でも『童夢』でもなく『気分はもう戦争』なのだけれど,大友克洋は9年もこれを作ってたのかと思うと,もったいないような気がする。

以下ネタばれを含むので,これから映画を見る人は注意。

クライマックスの,巨大構造物が脚ふんばってギクシャク歩くというモチーフは,『アップルシード』や『ハウルの動く城』とかぶる。城が歩く,というモチーフの原型はどこらへんにあるんだろう。アーキグラムってのもあるが,もっと昔からありそうじゃん。神話にある?

鈴木杏と小西真奈美は案外よかった。特に小西真奈美の声は意外な音であった。彼女の声で『不思議の国のアリス』のラジオドラマを作るときっとすごくいいんじゃないかと思いながら聞いていた。「ねぇ,なぜバラの花の色を塗り替えているの?」「ただのトランプじゃないのー!」とかさ。

出てくる空間の全部が全部,蒸気機関の工房みたいのばっかりなので,それにも飽きた。

19世紀に舞台を設定して,原子力も電気も内燃機関も自動車も飛行機も潜水艦も戦車もまだありません,鋼鉄と大判板ガラスは新素材です,というような諸々の前提を共有してもらったうえで,そのうえで,あらためて飛行機や戦車に驚いてもらう,というのはなかなか難しい手続きだと思った。子どもには無理じゃないか。

『ナウシカ』だと核兵器が巨神兵になるが,大友だと鉄の玉になる。生命の神秘みたいなものが微塵も出てこないのは大友克洋らしくて好ましい。だったら,あんなどうでもいいチワワ出さなくてもいいのにな。

爆発の水柱が瞬時に凍り付き,それが砕けて雪のように舞う,というラストのイメージは美しい。『デイアフタートゥモロー』にも似たシーンがあるらしいが,こっちは見てない。グッゲンハイム・ビルバオって,ちょっとこんな感じだと思った。

映画のラストに雪を降らせるというのは,どうしようもなく陳腐なのだけれども,『ノスタルジア』といい『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』といい『シザーハンズ』といい,雪が降るとこのわたくしには、人生がかなしくもうつくしいものに思へるので,なんかもう許す,という気になるのであった。

エンドロールの背景は,物語の後の情景を描いており,続編やるぜ感に溢れていた。してみれば,この映画は『スチームボーイ』第一話「スチームボーイ誕生」であったのかと思われる。なるほど。けど,それにしちゃ長すぎるよな。

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2004年08月05日 16:42に投稿されたエントリーのページです。

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