を読む。
千住博『千住博の美術の授業 絵を描く悦び 』光文社新書 No.147,2004
「何を」と「いかに」を考えるシリーズ。これは平田オリザとは正反対に,ひたすら「何を」を問題にしている。
5つある章題はこうだ。
- 何を描かないか
- 何を伝えるか
- 何を描くか
- 何で描くか
- 何に描くか
ひたすら「何を」を問題にしているのだけれど,それは「何を」と問い続けることの困難に「いかに」立ち向かい続けるかを述べているものだと思われた。
「何を」と「いかに」を対置させて硬直した構図に,「誰のために」の視点を入れるとよいと結城浩さんが指摘してくれた(Motoe Lab, MYU: パターン・ライティング)。
同じ問題に対して,チャールズ・パースは記号の解釈者,ずなわち「誰が」の視点を入れて三項図式を作り出した。
千住もパースのように「誰が」をおくが,パースのような一般モデルを考えているわけではないので,その「誰が」の中には常に「自分が」を置く。そして「自分が」を置き続けることの覚悟を求める。
主体と対象と方法の三つのファセットから,創造的な「環境」のありようを考える。三者は相互にかぶさりあっている。全体で環境をなしている。主体もまた環境の一要素と考えるような環境の定義が必要だ。
我ながら読者置き去りのエントリとなったことよ(笑)