を読む。
茂木健一郎『脳内現象 』NHKブックス1002, 日本放送出版協会,2004
「クオリア」の茂木健一郎の本。初めて読む。日記はときどき見たりしていた。
おもしろかったのは,p190ぐらいからの認知モデルの展開のところ。弁証法。
正:通常の認知モデル:観察主体と客体が分離している。
反:すべては自己のうちの擬似的主体による擬似的客体の「メタ認知」だとするモデル
合:「通常の認知のモデルは,このようなメタ認知において仮想的に立ち上がる「客体」(実際には自己の一部である)を,自己の外側に外挿して得られるに過ぎない(p192)」という「メタ認知ホムンクルス」モデル
「メタ認知」が全体のキーワードだが,他にも,「哲学的ゾンビ」や「感覚的クオリアと志向的クオリア」,錬金術ならぬ「錬心術」,「説明されるべき事実」と「事実それ自体」などなど,どれも明日の職場ですぐに使える(笑)キーワードばかりであった。
これを読むと,よくわからないということがよくわかる。よくわかったり,すぐできたり,サルにもわかったりするような,誰かに習えばすむようなことじゃなくて,こういう誰にもまるでわかってないことを悶々と考えるってのが,辛いけど楽しいのだな。
読後感に独特の既視感があり,なんだこれは?とずっと記憶をさぐっていたのだが,栗本慎一郎の『パンツを捨てるサル—「快感」は、ヒトをどこへ連れていくのか 』であると思いいたった。当時としてはそれなりに先駆的にドーパミンなどの脳内伝達物質について触れていた。けっこう興奮しながら読んだ覚えがある。薬学部の友人にドーパミンとかどうなの?って議論をふっかけたような気もする。
で,クオリアとかどうなの?