を読む。
瀧口範子『行動主義—レム・コールハースドキュメント 』TOTO出版, 2004
コールハースの追っかけ本。さくさく読めます。周囲の編集者や模型屋,研究者のインタビューもおもしろい。ブルース・マウも入ってればなおよかったな。
それにしても忙しいコールハース。アポが取れない筆者の苦悩が繰り返し吐露されます。とにかく忙しいのが好きで,そういうのに憧れている血圧の高い人は萌えるでしょう。私は正直ちょっと引きました。引きましたが,建築ってのはおもしろそうだぞ,と改めて思わされる本でありました。やっぱコールハースすげー。
以下,おもしろかったところの抜き書き。
「ミーティングでのコールハースの役割は次の3つである。質問をする,コメントをする,冗談を飛ばす。「指示」や「命令」というのはなくて,これはほとんどが質問というかたちをとっている。(中略)このやりかたのせいだろうか,スタッフは自律的に作業を進めるのに慣れているような気がした。」(p104)
OMAは作業の途中でブックレットをつくる。その「利点は,「ケリ」を付けられることである。ブックレットは記録である以上に,自分やチームの考えていることを吐き出して物理的なものにし,ひとつの軌跡として凝固する。」(p61)
建築評論家で編集者のサンフォード・クインター曰く「AMOが成功を収めることは大切です。なぜなら,建築とはすでに知識を生成することであって,デザインのソリューションを提供することではないからです。AMOが成功しないと,建築は10年前に逆戻りしてしまうのです。」(p303)
クインターもうひとつ。「多くの建築家が彼を嫌うのは,彼らがデザインは「〜すべき」と大げさにとらえているところを,レムはデザインなら「〜できる」と当たり前のように考えるからです。」(p297)
OMAのプロジェクトに一貫しているものはなにか?との問いに,伊東豊雄答えて曰く「かたちとしての一貫性はないけれども,かたちの生みだされ方に対しては共通したものがある。それは,99%の建築家がたどっている「かたちを生みだすプロセス」を割愛するということです。(中略)1工程省いていること,つまり建築的でないというところが,彼の魅力のすべてになったのです。」(p376)
コメント (1)
ちょっと読みかけて、忙しくなっちゃって読み進んでません。もちろんコールハースのような忙しさとはまっったく次元の違う、血圧の低い忙しさですが。
実際、建築家って程度の差こそあれこういう人多いですよね。我々が日常的に目にする建築家っていうと住宅作家だったりいろいろ幅が広いので必ずしも血圧が高いとは限らないけど。
忙しくしたい人は中国で仕事するといいです。いま、血圧の高い人が世界中から集まって来てます。オリンピックもあるし。私は正直引きました。
投稿者: もとなが | 2004年05月19日 00:55
日時: 2004年05月19日 00:55