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海賊レポート

「文章の盗作を探知する」ソフトの採用、新聞や警察などにも拡大

Motoe Lab, MYU: コピペでレポート」にも書いたけれど,文章の海賊版の問題は,上記記事にもあるように,これからますます深刻になるだろう。

書き手としては,自ら律して海賊行為をなさないようにする,というよりほかない。

レポート出題者,すなわち読み手としては,「これコピペ?」と思いながらレポートを読まなければならないことの不毛からは脱出したい。しかし Turnitin のコストは負担できない。適切な対策はあるか?


(1)コピペしようにも適当な文章が見つからないような,非常に特殊なテーマを課す。
試験としての妥当性に欠けるかもしれない。

(2)手書きでレポートを出させる。
書き写すあいだに覚えることもあるだろう。読むのはかなり辛いかもしれない。
図版についてであれば,写真を使うな,手書きの図のオリジナルを提出しろ,という課題はやったことがある。「コピペ写真勢揃い」よりずっとずっとおもしろかった。これからもやるつもり。

(3)学生を信じる。
基本的にはこれだが,実際まったく同じ文章があるんだからしょうがない。

(4)レポートではなく,閉鎖環境で筆記試験を行なう。
それはそれで,次元は違うけれど,おもしろくない文章を読まねばならないことになる。
私が試験でなくレポートにしたいと思うのは,ときどき素晴らしくおもしろいのがあるからだ。調べながら書いていて,自ら発見したことへの驚きが,読んでいても感じられるようなのがあるのだ。
暗記ベースの試験ではそういうのはほとんどない。試験ってのはそういうもんだといえばそうだけどさ。

コメント (7)

もとなが:

データで提出されているなら、全員分まとめて調べるツールは作れそうですね。文単位でGoogle、一定以上一致するテキストがオンラインで見つかったら警告、みたいな。

ま、私には必要ないので作りませんが。

もとえ:

人を制作へと突き動かす動機が,それが必要か否かであったことなど一度もないこと。知らないはずはないでしょう。

もとなが:

ツールを作ると、それをかいくぐろうという動きが出るわけですよね。上記の方法なら、語尾の言い回しを変えるだけでヒット率がぐっと下がりそうです。で、それをまた押さえ込むために形態素解析をして、とか…いたちごっこ。不毛。もう毛も生えない。ツルッパゲですよ。

もとえ:

志の低い話で恐縮なのですけれども,「かいくぐろう」と動いてくれるならまだ許せるわけです。かいくぐろうともしない。
いたちなら逃げてみせろよって話です。

もとなが:

知の共有を目指したネット時代に、コピペサンプリングレポートが出現するのは必定。
ここで問題なのはそれが真の共有になっていないこと。一方的に情報をゲットしてレポート化してるだけ。
なので、提出された全レポートを実名で公開。これで双方向の共有が完成。サンプリングの芸も何もない恥ずかしいコピペレポートも実名で公開。
もういつまでも毛が生えない。永久パイパン。

学生1:

毎日興味深く拝見させていただいてます。

レポートを実名で公開、いいですね。
学生の立場から申し上げますと、提出されるレポートの質を上げるには、ツールによる締め付けも方向としてあると思いますが、それよりも重要なのはそういうコピペレポートをより多くの学生に「恥ずかしいもの」として認識させることであり、そして、学生が提出するレポートを彼らの著作物として意識させることではないかと思います。

学生がレポートを書く際、安易にコピペに走ってしまうそもそも理由として、最終的に点数が出る、または自分でどの程度の出来かある程度予想できるペーパーテストと違い、

1.レポートの書き方についてきちんとした教育を受けていない(基本的な教育の問題)
2.自分で考え、正攻法でレポートを作成しても、そのレポートが評価されているんだかどうだか分からない、もしくは分かりづらい(モチベーションの問題)

という2つがあると思います。

1.についてはレポートの書き方は書籍やネットでいくらでも調べられるじゃないかといえばそうなのですが、なかなかそこまでやる・そのことに気づく学生は多くないと思います。そこで1年次の必修科目のどれか(私の中ではコン基礎)に「レポートの書き方」のようなリテラシー的な内容を組み込むのは、その後多くのレポートが提出されることを考えれば効果的だと思いますし、時期的にも適当だと思います(高校まででも課題としてレポートの提出がありましたが、内容の質や書く形式などは口頭でちょっと言う程度しか教育されませんでした)。少なくとも計画や空間の学生に対してもスロットマシンのプログラムを作成させるよりは効果的だと思います。

2.についてはレポートを実名で公開するのも良いと思います。
しかし私が学内の活動においてモチベーションといいますか、真剣にやろうという気持ちがmaxになるときを考えると、それは人前でプレゼンをするときです。顔が見えないレポートと違い、しょぼいことを言ったら恥をかくのが分かっているので各自自分なりに真剣に考えていると思います。また頭の中で話す内容を自分で組み立てる作業が必要になるためコピペは通用しませんし、コピペしようという気持ちも起こりません。しかし現実問題として「空間と情報」などは100人程度受講する講義であり、全員にプレゼンさせるわけにもいかないと思うので、レポート公開とプレゼンもしくはそれに似た性質を持つもの(グループ発表など)を組み合わせた形がベストではないにしろベターなのではないでしょうか。

長文失礼しました。

もとえ:

コメントありがとうございます。長文でも遠慮なく。

「レポート公開とプレゼンもしくはそれに似た性質を持つもの(グループ発表など)を組み合わせた形」というのはよさそうですね。

少なくともレポートの内容公開はやってみようと思いつつあります。

成績については公開しないほうがいいでしょうけど,優秀なものについては特に顕彰して,みんなもこういうの書けよ,と示そうかと思いますが,いかがでしょう。

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2004年04月07日 00:53に投稿されたエントリーのページです。

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